f:id:coffeenotetsujin:20210915202920j:plain

 豆を深煎りするのは、アイスコーヒーをオーダーのお客様と、

濃くて苦いコーヒーがお好きな常連のお客様のためのブラジルコーヒーやマンデリンに限定していた。

当時、名古屋は殆どの喫茶店では「深煎りコーヒーをネルドリップ抽出」したものを

鍋で温めて提供していた。

抽出したコーヒーを一晩寝かすという店もあった。

 

 「スーパープレミアムコーヒーを一杯だて抽出」でいれたてを提供。

深煎りすれば豆の持ち味をそこなうとも感じていた。

 

しかし問題点もあった。

 

多品種のコーヒーをそろえていると、回転が鈍く、昼に捌けなくて夜に

無料で提供する事もあった。

 

また、メニューをお客様に選んで頂くシステムも、

お客様が想像したものと少しずれる場合もあるかもしれない。

 

結局「メニューリスト」を

お客様に提示するシステム自体を廃止する決断をしました。

 

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210704152128j:plain

或る日

営業担当が

こんな講演会がありますが、

参加して頂けませんでしょうか?

と訪ねてくれた。

なんと!

「コーヒーバッハの田口護」の講演会だった。

 

たとえ、有料であっても参加したかったが、

会場は名古屋で、

しかも参加費は無料だった。

 

目的はひとつしかなかった。

焙煎した豆を品評して欲しかった。

ご来店頂いたお客様にはおいしいと評価して頂いているが、

果たして??

 

会場は普通の会議室。

長テーブル数十台が並べられて、

皆さん、もっと前に詰めてくださいよ!

とアナウンスがあったくらい空きが多かった。

 

目立たないように、私は一番後ろの席に座ったため、全体が

よく見渡せるロケーションであった。

 

来場者の中には

ヒマラヤ美術館内の喫茶の○○先生、

その後、頭角を現し、楽天の通販で数年一位を独占しることになる

○○コーヒーのオーナーの姿があったが、

あとは、いわゆる枯れ木も山のにぎわい。

その当時風の喫茶店を経営しているおばちゃんが多く、

殆ど関心がないのではと思える雰囲気だった。

 

冒頭に主催者の代表から簡単なあいさつがあり、

その後「田口護」さんから

「皆さんはご存じないと思いますので、ご説明しますと、

出店は立地が大事といわれていますが、私は最低の立地で営業しています。」

あしたのジョーの舞台になったなみだ橋で有名な、いわゆる日雇い労働者が多い地域です。」

 

あ、そういえば‥‥

興味深い内容も多くあり、割愛するのはもったいないため、

詳しくはまた次回にします。

 

講演の最後に質問のコーナーがありましたが、

「早く終わってくれ!」

と祈り、

来場者が空になった後、

「田口護」さんに直にお願いをする事にした。

2袋焙煎豆を持参していた。

 

「先生、焙煎したこの豆の悪いところを指摘して頂きたいんですが?」

 

田口護さんはいかにも、職人という手をされていて、

私の様な美しい指ではなかった。

 

手のひらに焙煎豆を乗せて、

 

「炒りムラがあるね、根本的にだめだね!」

そういうのを想像していた。

 

それが、

「え!どうやって焙煎してるの!」

「上手に水分がぬけてるけど!!」

「こっちはナチュラルでしょ。」「こっちはウオッシュ。」

「浅煎りなのにどうやったら、こんなにうまく水分が抜けるの?」

 

悪い所を指摘して欲しいんですけど‥‥。

 

???さっぱりわからなかった。

 

田口護先生のおっしゃるには

「浅煎りはうまく出来ている」

けど「浅煎りでは商売にならない」

小さくつぶやくように、

「玄人は深煎りだよ!」

「深煎りを研究した方が商売になる」

 

え!深煎り!!!

 

 

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210623154556j:plain

 或る日、広告代理店にお勤めの○○さんが、

「店長、雨の日はコーヒーを売らない店があるの知ってる!」

名古屋駅前のヒマラヤ美術館内で営業しているコーヒーショップのことだった。

 

どんな偉い方に以前の職業について

訊ねられても、

「普通のサラリーマンですよ!」

とお答えすることにしていた。

 

「あそこのコーヒーは何でおいしいか知ってる。

コーヒー関係の○○にお勤めだったらしいよ!

だからなんだ!」

などとうわさが後押ししてくれることがあったりして、

好都合であるとアドバイスしてくれる同僚も多かったが、

そういう事を後ろ盾にしていては、

本当の実力が試せないなどと考えていた。

 

また、マイナスの情報が全く入らなくなる事も想定していた。

 

あの店長は○○出身の人だから、

こんな事は知ってるだろう‥‥とか

こんな事を言っては失礼だ‥などである。

 

居酒屋経営の○○さんが

「ワシも行ったことがないな。

うわさは聞いた事がある。

店長、今度一緒にに行ってみよまい!」

 

実は生豆を購入して頂いている御得意先であった。

ヒマラヤ美術館内のショップは焙煎工房も併設されていた。

プロバットの焙煎機で

神戸のにしむらコーヒー店の出身の方で

○○先生と呼ばれていた。

 

「本日は何か、お食事をされてからご来店ですか?」

と訊ねられ‥、

 

「それではこちらのコーヒーをお召し上がりください。」

と提供して頂いたのですが、

駆け出しの私にはよくわかりませんでした。

隣に同席の居酒屋の店主○○さんは、

「洋菓子に合わせたコーヒーだな!」

そのコメントさえもわからなかった。

 

○○先生と○○さんの

会話の内容によれば、

コーヒー全般に関する指導で就任されている様であったが、

いろいろ指導してますが、

「焙煎だけはなかなか習得してくれませんな!」

 

そうなんだ!

焙煎は難しいんだ!

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210619004256j:plainネルドリップ抽出で高級なコーヒーを抽出しています。」

などのキャッチフレーズで提供すれば、

より付加価値が高まる事はわかっていた。

 

結果的に

ペーパードリップ抽出」を選択した。

職場の片隅にだれが目にすることもなく転がっていた、

確か「月刊レストラン」に

記載の記事を参考にした。

スターバックスの一号店出店前の頃で、

殆ど無名に等しい「バッハの店主のコメント」であった。

 

或る日

母親と10才以上年の離れた叔母が芦屋から訪ねて来た。

芦屋といってもお金持ちではない。

神戸に住んでいる頃のほうが裕福だった。

お土産に自分で「炊いたいかなご」を持って来てくれた。

私が幼い頃にまだ若かったため、

お姉ちゃんと呼んでいた。

高校の頃は、

○○高校の吉永小百合と言われていたらしい。

 

コーヒーが好きだと聞いていたため、

「飲みやすい!」

「おいしい!」「もらって帰りたい!」

「芦屋の友達紹介したるわ!」

などのコメントが聞けると期待したが、

 

「お姉ちゃん、こんな薄いコーヒーあかん!」

「いつも飲んでるコーヒーを見せたろか!」

「もっと深煎りや!」

 

え!芦屋の大口顧客だと期待したのに!

 

 

 

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210619004256j:plainネルドリップ抽出で高級コーヒーを抽出しています。」

などのキャッチフレーズで提供すれば、

より付加価値が高まる事はわかっていた。

 

結果的に

ペーパードリップ抽出」を選択した。

職場の片隅にだれが目にすることもなく転がっていた、

確か「月刊レストラン」に

記載の記事を参考にした。

スターバックスの一号店出店前の頃で、

殆ど無名に等しい「バッハの店主のコメント」であった。

 

或る日

母親の10才以上年の離れた叔母が芦屋から訪ねて来た。

芦屋といってもお金持ちではない。

神戸に住んでいる頃のほうが裕福だった。

お土産に自分で「炊いたいかなご」を持って来てくれた。

私が幼い頃にまだ若かったため、

お姉ちゃんと呼んでいた。

高校の頃は、

○○高校の吉永小百合と言われていたらしい。

 

コーヒーが好きだと聞いていたため、

「飲みやすい!」

「おいしい!」「もらって帰りたい!」

「芦屋の友達紹介したるわ!」

などのコメントが聞けると期待したが、

 

「お姉ちゃん、こんな薄いコーヒーあかん!」

「飲んでるコーヒー見せたろか!」

「もっと深煎りや!」

 

え!芦屋大口顧客だと期待したのに!

 

 

 

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210609155948j:plain

 夜はピルスナービールを、

昼はスーパープレミアムコーヒーのメニューをお客様に提示し、

オーダーを頂くシステムを選んだ。

 

 高級豆を使用した。

焙煎したての豆を使用した、

酸味が強く感じられない様に焙煎を工夫した。

コーヒーフレッシュを入れて飲む「名古屋コーヒー」のなかで、

飲みやすい、

高級豆だからかな?

煎りたてだからかな?

と結構好評だった。

加えて

お昼はスパゲティのランチメニュー。

夜の売り上げの不足分を昼間に補う。

滑り出しとしては順調だった。

 

コーヒーがあまり好きでない。

    おいしいと思えない。

そういった方の大多数が

酸味・渋み・苦味である事は把握していた。

 

ブラジルは酸味が殆どありません。

コロンビアは少し酸味があります。

 

???

 

 

 

f:id:coffeenotetsujin:20210601200821j:plain

所謂スペシャリティコーヒーを

「スーパープレミアムコーヒー」と呼び

 

ブラジル・サントス・ブルボン

コロンビア・ナリーニョ

キリマンジャロ。キボー

ハワイコナ・エクストラファンシー

ブルーマウンテン#1

などとメニューにそのまま記載した。

 

当時、ブラジル

   キリマン

   コロンビア

という表記が一般的であり、スターバックスの一号店が東京の銀座に

出店して、まもなくの頃であったが、実際の焙煎業者からのオーダーは少しでも

低価格で仕入れる事に集中していて、スペシャリティコーヒーには関心が薄かった。

 

実際、

何でハワイコナやブルーマウンテンはわかるけど

「ブラジルやキリマンまで高価なものを仕入れんねん?」

と忠告してくれた先輩もいたが、

 

そういった背景もあり

購入もしやすかった。

 

スペシャリティというワードは、抽出スタイルのエスプレッソの事を

指していたような風潮もあったのではないかと思う。

 

コンビニエンスストアなどで展開しているコーヒー飲料

コアターゲットは男性で、

女性は「キリンの午後の紅茶」などで

どちらかと言うと、

珈琲は男性

紅茶は女性

 

当然の様に紅茶もメニューに加えていた。

 

実際「コーヒーを飲みに行こう!」イコール

「たばこを吸いに行こう」と言う時代でもあった。

 

 

名古屋の喫茶店と同様といっていいかどうかわからないが、

スターバックス」はコーヒーの個性がなくなっているのでないか

と思えるくらい「深煎りだった」

 

 

 

出店前に

東京で営業をしていた同僚に同行してもらい「銀座1号店」の視察に行ったが、

その際はブラックしか試飲していない。

なぜ‥‥‥。

わざわざ視察に行って

スターバックスで「カフェ・ラテ」を飲まず??

それには理由があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜は「生ビール」、 昼は「コーヒー」を提供する店舗

f:id:coffeenotetsujin:20210423231053j:plain


夜は「生ビール」、

昼は「コーヒー」を提供する店舗を開業する事を決意。

 

きっかけは、ブラジルコーヒーとの出会いでありました。

品種は「サントス・ブルボン#2/スクリーン18」

それまでの私の中でのブラジルコーヒーは「ただ苦味のコーヒー」という印象。

 

ブラジルのイメージはというと、アントニオ猪木が若き日々に過酷な労働を味わった。

ボボブラジルなど‥‥など幼い頃からのイメージをひきずっており、

 

ハワイコナ・ブルーマウンテンなどと比較するとプレミアム感に欠ける印象でありました。

「サントス・ブルボン#2/スクリーン18」のフルシティの煎りたてのハンドドリップを飲む機会があり、今までコーヒーには商材としての魅力しか感じていなかった私には衝撃的な出来事でありました。

ブラジルにもこんなにもいいコーヒーがある。

 

この時が「本当にブラックコーヒーはうまい」と感じた瞬間でもありました。

 

銀座にスターパックスの一号店の出店がある以前の出来事であります。

 

スペシャリティコーヒーというワードも巷にはなく、いわゆる自家焙煎の店主も

殆どは取引価格の安いものばかりを狙っていたという現状でありました。

 

世界の産地のなかで、お薦めの品種を末端の消費者に味わってもらいたい。

「ランチメニューの付録」のコーヒーでなく、

「主役になるコーヒー」を提供したい。

焙煎でこんなに味わいが違ってくるんだ、

こんなにコーヒーが生きてくるんだ。

遠赤外線焙煎の力はすごいな。

 

 

 

 

 

殉職

f:id:coffeenotetsujin:20210410222524j:plain

 ビールを注いで頂いたのは

弟子の「松尾光平」さんだった。

 

或る日、ビアグラスが

持てなくなりましたが、

現役を貫きたいという本人の申し出により手術をし、

無事ビアグラスを持てるようにはなりました。

 

しかし高齢で手術をしたものですから、

肺が悪くなってしまって亡くなりました。

「殉職です!」

 

殉職!

太陽にほえろ!

以来

聞いた事がなかった。

 

 

 

 

 

八重洲の灘コロンビアへ

f:id:coffeenotetsujin:20210329205855j:plain

転勤して数年が経過していた。

 

私の足は八重洲の「灘コロンビア」に向かっていました。

 

神宮前のビアハーレ・モーンではありませんでした。

 

 

名古屋での最後の勤務先は中部支社でありましたが、

この日はすでに

コーヒー会社を退職していました。

 

まさかの転勤先の名古屋で私に退職を決意させたのは、

「コーヒーと生ビール」との出会いでありました。

 

遠赤外線でたまたまうまくローストされた「サントスブルボン#2/スクリーン18」

名古屋工場で醸造された「ヱビスの生ビール」

 

この日は製造会社から招待され

新たに出店した店舗の視察を兼ねたビールの勉強会がありました。

内容は各工場で製造されたヱビスビールの官能検査の結果の報告などであります。

 

勉強会終了後、

その足で

夕方開店直後の「灘コロンビア」に‥‥。

 

私の記憶が確かなら、

まだ、お客は私以外ひとりもいませんでした。

 

カウンターに座って

生ビールをオーダー‥‥。

 

マスターは、とお尋ねしたところ‥‥。

 

亡くなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさかの転勤

f:id:coffeenotetsujin:20210111135651j:plain

この頃、

会社は改革の方向に向かっていた。

いつの間にか、

社内に人脈が出来ていた。

後輩から

「勤務後に食事でもどうですか‥‥」

○○室長からお話が‥‥。

「今後、改革のため、定期的にこの様な場を‥‥」など。

底辺にいる私に

入社時にはまったく想像もしていない事も起きていた。

 

 

なんで?

この時期に転勤?

上司にも判らない。

 

事業部長にも

判らない。

???

内心は

どうせ実情を知らないあんたが飛ばしたんだろう!

と思っていたが‥‥。

 

のちに判明したが、

もっと、もっと

実情をご存じのない雲の上から

人事への指示が出ていた。

 

自慢するため、

会社が一流になる事にしか興味がなく、

いわゆる昇格などにまったく興味のない私のため、

私の将来のため

新しく発足する事業部のため

私の望むところとは、

まったく逆の人事異動となったのであります。

 

いちばん辛かったのは、

言うまでもなく

仲間との別れであった事に間違いはないですが‥‥。

 

「本題のコーヒー」から大きくかけ離れて来ているため、

 

とっとと

名古屋に転勤する事にします。

 

 

 

 

 

 

昔ながらのビールサーバーの限界?

 

 f:id:coffeenotetsujin:20210104213326j:plain

①灘コロンビアはアサヒ生ビール。

②キリンシティはキリンビール

③ビアハーレモーンは??。

灘コロンビアの職人気質に

深く感銘を受けたのは事実ではあったが、

グラスに注がれたビールの

どれが一番好きかと言うと

個人的には

③のビアハーレモーンであった。

「ドイツからの輸入と思われていたが、実際はキリンビールが製造していた」

①の灘コロンビアは軽すぎた。

これは、サーバーの違いによるものと、当時は解釈していた。

ビアハーレ・モーンとキリンシティは同一のサーバーであった。

「これは厳密にはそうであるかどうかの確認はとれていない」

サーバーのシステムが優れているとの解釈で落ち着いていた。

 

沢山飲める。

うまい。

ドライブーム一色のビール市場に一石を投じた人物がいた。

東西新聞社山岡士郎である。

 

ビールの原材料にまで言及したのは画期的であった。

だが、

これに影響され、アサヒスーパードライが下がった訳ではなく。

アサヒビール

キリンビールの売り上げを抜き

首位に躍り出る。

 

この頃にはないが、

ウィキペディアなどを参考にして頂くと、

苦くてコクがあるビールではなく、

キレのあるビールを目指して開発された

使用する麦芽をぎりぎりまで減らし

副原料(コーンスターチ)の比率を高めることですっきりした味を実現

この味を「ドライ」という言葉で表現した

とある。

 

幼少の頃、

暑い夏に飲んだ

ファンタオレンジも

ファンタグレープもおいしかった。

 

当時は、無果汁だと知らず‥‥。

後に、競合メーカーから「ハイパー70」が出た。

 

爆発的にシェアが入れ替わるなどはなかったと思う。

 

スーパードライが急成長できた背景を私なりの分析すると、

ビールを

飲む人と

購入する人が違う時代が永く続いた。

 

飲むのはご主人。

購入するのは奥様。

 

酒屋さんに

「飲まないからわからないんだけど、贈答にビールどこがいいかしら?」

と聞くと

アサヒスーパードライが無難ではないでしょうか」

と答えが返ってくる。

 

今は、

ご主人がビールを飲みたくても、

家計の都合もあり、

第3のビールが冷蔵庫に冷えている。

 

その頃、

会社が横浜に建設した新築のワンルームに住むことが決まり、

東急の田園都市線で表参道まで通勤する事になり、

夢の様な毎日を‥‥。

その矢先、

転勤の内耳が出た。

まさか!

まさかの名古屋!

いっその事、関西に飛ばして欲しかった。

 

 

 

 

ドライビール

f:id:coffeenotetsujin:20201227200356j:plain

この頃、多摩川の巨人練習場の近くに会社が新築のマンションを借りてくれて、

住む事になった。

同僚と後輩の数人で共同生活、

今風に言えばシェアハウス。

 

或る日、後輩が大量のアサヒビールを買って来た。

私の好きなアサヒ生ビールではなく

アサヒスーパードライ」だった。

 

この頃から

アサヒの生ビールは冷蔵ケースから姿を消し、スーパードライ一色になった。

それどころか、各社から

キリンドライ

サッポロドライ

サントリードライ

私でさえもドライに傾いた。

飲みやすい!

うまい!

キリンビールや、

アサヒの生ビールがうまいと感じるのは、錯覚なのかもしれない!

 

バブル期で、

トレンディドラマなどが流行した。

 

キリンビールの深みのあるテイストとは違う

流し込む、酔うための

飲みやすいビールの台頭である。

 

そんな流れに、

待ったがかかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美味しんぼのモデル

             f:id:coffeenotetsujin:20201219184657j:plain

後に漫画「美味しんぼ」で

主人公の山岡士郎

銀座のビアホールに

「ビール注ぎ職人がいると、会社の同僚に紹介する‥」があることを知った。

 

丹波の枝豆と絡めて実にうまく構成されたフィクションでありますが、

支配人に昇格しても現場でビールを注ぎ続ける職人の

モデルは

店主の新井徳司さんです。

 

通常の店主は

ビール注ぎは

同じ作業を繰り返す訳であるから弟子または従業員に任せる事であろうが、

新井さんはビールサーバーの洗浄まで自身でやる。

 

また、生ビールは泡を立てて注ぐ事により

液中の炭酸ガスが邪魔をせず

うまみを感じやすくなり

胃が膨らみにくく

何杯も飲めるという

当時として画期的とも言える「ビールの新しい魅力」を提案している。

 

フィクションでは銀座が舞台となっているため、

銀座ライオンの海老原清」さんと噂されていることがあるが

原作者ご本人に確認した訳ではないが、間違いだと思います。

 

間違った噂に発展する要因としては

どちらも「かなり剥げている」という共通点がある。

 

もうひとつの共通点は

「徹底したビールサーバーの洗浄」であります。

当時は洗浄の器具類も充実していないと思われます。

 

この事実は物語の中ではもちろん語られていない。

新井さんもカウンター越しで

自身のビール注ぎの技は誇示しても、

サーバー洗浄のことは強調していない。

 

通常はこういった作業は弟子に任せます。

 

新井さんの場合は自身でやる。

ビール注ぎに関しては

遂に血縁関係のある弟子にも注がせなかった。

 

 

アサヒビールの復活

                                            

                                                         f:id:coffeenotetsujin:20201215222207j:plain

就職して、まだスーパードライの発売する以前の事です。

サッポロビールをつかんだつもりが、間違ってアサヒビールを購入していた

という間抜けな事がありました。

 

大学時代の前述のエピソードもあり、

「あ、しまった!」

 

薬臭い?

缶のまま、飲みました。

とんでもない!

とても、うまい!

ロゴマークも以前の「日の出マーク」でなく、

あたらしいasahiのロゴマーク

 

それ以来、私のなかでは「アサヒビール」の評価は急上昇しました。

その後、スーパードライの爆発的なヒットがあり、

そんな中での「灘コロンビア」店主との

また「昔ながらの氷サーバー」との出会いでした。