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或る日、広告代理店にお勤めの○○さんが、
「店長、雨の日はコーヒーを売らない店があるの知ってる!」
名古屋駅前のヒマラヤ美術館内で営業しているコーヒーショップのことだった。
どんな偉い方に以前の職業について
訊ねられても、
「普通のサラリーマンですよ!」
とお答えすることにしていた。
「あそこのコーヒーは何でおいしいか知ってる。
コーヒー関係の○○にお勤めだったらしいよ!
だからなんだ!」
などとうわさが後押ししてくれることがあったりして、
好都合であるとアドバイスしてくれる同僚も多かったが、
そういう事を後ろ盾にしていては、
本当の実力が試せないなどと考えていた。
また、マイナスの情報が全く入らなくなる事も想定していた。
あの店長は○○出身の人だから、
こんな事は知ってるだろう‥‥とか
こんな事を言っては失礼だ‥などである。
居酒屋経営の○○さんが
「ワシも行ったことがないな。
うわさは聞いた事がある。
店長、今度一緒にに行ってみよまい!」
実は生豆を購入して頂いている御得意先であった。
ヒマラヤ美術館内のショップは焙煎工房も併設されていた。
プロバットの焙煎機で
神戸のにしむらコーヒー店の出身の方で
○○先生と呼ばれていた。
「本日は何か、お食事をされてからご来店ですか?」
と訊ねられ‥、
「それではこちらのコーヒーをお召し上がりください。」
と提供して頂いたのですが、
駆け出しの私にはよくわかりませんでした。
隣に同席の居酒屋の店主○○さんは、
「洋菓子に合わせたコーヒーだな!」
そのコメントさえもわからなかった。
○○先生と○○さんの
会話の内容によれば、
コーヒー全般に関する指導で就任されている様であったが、
いろいろ指導してますが、
「焙煎だけはなかなか習得してくれませんな!」
そうなんだ!
焙煎は難しいんだ!